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速読して即興ラップ。「大人のひきこもり」池上正樹

 


速読して即興ラップ。「大人のひきこもり」池上正樹

この本は引きこもりの取材を長年行なっているジャーナリスト・池上正樹さんの著作。

 

この本との出会いは、地元で行われた「ひきこもりシンポジウム」にラッパーとして出演した際、ゲストが池上さんだったのがきっかけ。

 

たまこうは過去ひきこもりだったことがある。

大学を休学した1年間。

かなり精神的に疲弊していた。

精神病院には行かなかったが、回復した後うつ病の本を読むと、当時の状態とほとんど同じようなことが書かれていたので、軽いうつ病だったよう。

同じ苦しみを他の人が味あわないように地元のひきこもり支援団体に連絡をとっていたので、上述のイベントに呼ばれた。

 

これは本ではなく、僕個人の意見だが、

ひきこもりの問題の原因は

今の日本の社会問題、例えば自殺者3万人・ブラック企業うつ病患者の増加と同じであると思っている。

 

それは「承認」の欠如である。

「自分であることを認めてもらいたい、けれど周りに認めてもらえない」ということだ。

 

社会が言う、「こうしないといけない」「これが普通」「これをできないとだめ」。

それと自分の「あれしたい」と言う本音にズレが生まれる。

 

「あれしたい」けど「こうしないといけない」。

 

「この会社を辞めてはいけない」と思い込んでいるからブラック企業をやめることができず、「あれしたい」と言う本音を抑え込む社会は息苦しいので「ひきこもり」、そのストレスから「うつ病」になり、自分のやりたいことができない世界に絶望し命を絶つ。

 

そう考えた時、ひきこもり問題で皮肉だと思うのが「実家にひきこもる」と言うこと。

どう言うことか説明しよう。

こうしたいと言う本音とこうしなければいけないと言う社会にズレが生じて、社会から逃げてひきこもる。

その逃げる先は衣食住が保証されている実家である。

けれど「こうしなければいけない」と言う価値観は、自分の外部にモノとして存在するものではない。

それは社会ではこうしないといけないと言う自分の頭の中の信念なのだ。

ではその信念は誰から教えられたのか。

それは親である。

人間は世界の見方のほとんどを両親から学ぶ。

 

つまりではこうしないといけないと言う社会から逃げて、社会ではこうしないといけないと教えた人の元へ行く。

結局その価値観からは逃げることはできない。

それが大きな問題であるように思う。

 

 

ではどうすれば自分を苦しめるズレを解消できるか。

簡単なのは自分を自分で承認することだ。

他の誰が何を言おうとこれでいいのだと認める。

その上で社会と交流したければすればいいし、したくないならひきこもればいい。

ひきこもること自体は問題でなく、その精神的苦痛が問題なのだから。

自分の気持ちのいい距離感で他人や社会と接すれば良いのだ。

 

しかし、自らも経験があるように、ひきこもって精神的に参っている人はそこまで深い思考ができる余裕がない。

ではどうすればいいかと言うと、余裕のある他人が他人を承認してあげればいいのだ。

「お前はそれでいいよ。」「君は最高だよ。」と。

 

そして精神的に回復してきて、じっくり考えれるようになれば、「どう考えるかは各々の自由。どうするかは最終的に自分の自由。」と自分を承認してあげれば良い。

 

そしてさらに余裕のある人が他人を承認してあげれば良いのだ。

 

あれがしたいと言う自分の気持ちを許したあげる。

さらに余裕があれば他人のしたいも許してあげる。

すると快適に過ごせる社会になるはずだ。